2011-01-01から1年間の記事一覧

天地創造4

制作の途中、下絵発表の段階からマスコミを賑わしていたこの作品だが、肝心の受け皿(オペラハウス)の計画が暗礁に乗り上げてしまい、行き場を失ってしまった。しかし完成披露は京都市美術館において、約2週間にわたって行われた(「天地創造」がKBSホール…

天地創造3

とはいうものの、彦之助には最初から目算があった。それは彼がこれまでモザイク壁画(姫路市名古山仏舎利塔内の縦2.4〜3.6m、横約75mの「佛傳図」)等の作品で手がけてきたアクリルという素材である。 アクリルは今でこそいくらでも私たちの身の回りに存在し…

天地創造2

ところで、これくらい大きな作品を制作するとなると当然様々な問題が起こってくる。そのうちのいくつかを紹介してみよう。 まずは重さの問題である。240㎡のステンドグラスを通常の技法で作ったのでは重過ぎて自己崩壊してしまう。事実ヨーロッパの古いステ…

天地創造1

ステンドグラスというと大方の人は教会の窓やランプシェードを連想されるだろう。しかし彦之助が制作した「天地創造」というステンドグラスは、オペラ劇場の緞帳として計画されたものだった。 1997(平成9)年秋、東京・初台に関係者の永年の念願がかない、…

お化け屋敷5

それに対して、エクステリア(外観)の方は古く見せる努力が必要だった。しかしそれはまんまと成功し、新築祝いの人たちがたどり着けなかったのは誤算だったとしても、お化け屋敷の称号を与えられ、今も太秦の街に異彩を放っている。 《京都・太秦の広隆寺の…

お化け屋敷4

実は、その家は建築当初から古かった。 どのくらい古かったのかと言えば、新築祝いにやって来た人たちが、見過ごしてその前を通り過ぎてしまう程だった。 〈新しいものはすぐに廃れてしまう。しかし最初から古いものなら、いつまでもその印象は変わらない〉…

お化け屋敷3

太秦のお化け屋敷(古い大きな洋館)はもちろん出ない方である。なぜ自信を持ってそう言い切れるかというと、そこでは1937(昭和12)年の竣工以来、私が最後に暮らしていた1992(平成4)年に到るまで、誰一人として亡くなっていないからである(…

お化け屋敷2

スタジオ・ジブリの人気アニメ映画『となりのトトロ』で、主人公の父親(声は糸井重里)が引っ越してきたばかりのボロ家(サツキとメイの家)に、何か得体の知れないものが居ると聞かされてこんな風に答える場面がある。 「そりゃ〜すごいぞ〜、お化け屋敷に…

お化け屋敷1

京都市の西、嵯峨野まであと数kmというあたりに太秦(うずまさ)という処がある。古代史のファンなら大いに興味をそそられる程の、歴史的に由緒正しい土地(地元の学校ではそう教えている)なのだが、今ではすっかりベッドタウン化してしまい、往時の面影を…

徳力彦之助

これからしばらくは 父、徳力彦之助(Tokuriki Hikonosuke 1905〜1996)のことを書こうと思う。テーマは(多分)4つ・金唐革(きんからかわ) ・ステンドグラス ・梵鐘 ・お化け屋敷気ままに書いていくので、 どうぞお付き合いください。

ドラッカーの言葉

あらゆる事物に複数の側面があることを認識することは至難である。経験的に身をもって確認ずみのことにも、他の側面つまり裏側や別の面があること、しかもそれらの側面の様子が自分の見ている側面とは違うこと、したがって、それらの側面を見るかぎり、自分…

神様の悪戯

142857 この数字をご存知でしょうか 何の変哲もない6桁の数字 素数ですらありません ちなみに 142857=3×3×3×11×13×37 ところがこの数字に2を掛けると 142857×2=285714 何が起こったか分かりますか 3を掛けると 14…

死、その先にあるもの

死とは人生の結末ではない それは重力からの解放に過ぎない 言い換えれば 肉体という重荷を下ろすことだ 古代ギリシアの人々は 人の死を蝶の羽化に喩えた 人は死後何処かへ行くのではない その先にあるもの それは春に他ならない