昨秋、「拝啓 万城目学 殿」と題した記事をアップしたのですが、ちょっと女々しい感じがして、取り下げてしまいました。
最新作「八月の御所グラウンド」を、今まさに読んでいる最中なのですが、そこに思いもよらぬニュースが飛び込んできました。
という訳で、先の記事を復活させることにしました。
鴨川ホルモー以来、長きにわたってお世話になっております(私も京都の人です)。
現在は、エッセイ集「万感のおもい(夏葉社)」を拝読中。
その中にとても引っかかる言葉が…
『料理に限らず、小説でも、映画でも、音楽でも、人の心がいちばんよろこぶのは、それまで経験したことのない、質の高い、新たなたのしみに触れたときだと思う。
しかし、これがいちばん難しい。
人間、年を取り、経験が増えるにつれ、「新鮮さ」に遭遇するチャンスは反比例して減っていく。
個人の領域に「新鮮さ」に反応できる部分は残っていても、それを自身の手で掘り当てることはいよいよ難しくなる。』
私が長年取り組んでいる、プリマヴェーラの謎解きは、この言葉が、そっくりそのまま当てはまる世界だと思います。
しかも、「星の王子さま」はじめとして、色々なところで指摘される、「大切なことは目に見えない」を地で行くような話です。
500年以上前に描かれた、誰もが知るルネサンスの名画。
そこには9人のギリシア神話の神々が描かれており、描いたのは、物語を忠実に表現するタイプの画家でした。
その絵の謎が、西洋の碩学たちが100年以上かかっても解き明かせない。
なぜなら、彼らは絵を描かない人たちだからです。
数学の証明と違って、絵画の謎解きは、興味ある人なら誰もが理解できる、「それまで経験したことのない、質の高い、新たなたのしみ」に他なりません。
万城目さんでなくとも、どなたか私の挑戦に興味のある方がおられましたら、声をかけていただけませんでしょうか?