エロスとプシュケ

                                   
質問(青年のエロスが描かれていない理由&三美神は何を祝っているのか)の解答にまだしばらくかかりそうですので、エロスの邸に連れてこられたプシュケが、その後どうなったのか、簡単に説明しておきましょう。


エロスの矢を受けたプシュケは、その後アプロディテの不興をこうむり誰とも結婚できずにいました。心配した父親がアポロンの神託をうかがうと「その娘は人間の花嫁にはなれない、未来の夫となる怪物が山の頂上に待っている」とのお告げが。けれどもプシュケは、この恐ろしい運命に従うことにしました(ゼピュロスが彼女をさらっていき、エロスの宮殿に届けるシーンは1/24付ブログのコメント欄をご覧下さい)。
エロスの邸に住み始めた彼女は、決して自分の前に姿を現そうとしない夫のことが気になって仕方ありません。2人の姉にそそのかされ、とうとうエロスが寝ている姿を見てしまいます。これに気づいたエロスは「恋と猜疑は一緒に住めない」と言い残し、彼女の前から去ってしまいます。
あきらめきれないプシュケは、アプロディテの神殿を訪ね、女神の出す無理難題を、様々な助言に助けられながら次々と解決していきます。
最後に彼女は、冥界のペルセポネの処に「美」を貰いに行くことになります。
冥界へは死ななければ行けませんが、塔から身投げしようとしたプシュケは、ここでも助言を得て、生きながらにして冥界を訪ね、美の入った箱とともに無事この世に戻ってくることが出来たのです。
ところが、持ち前の好奇心から「開けてはいけない」と忠告されていた箱を覗いてしまいます(図版)。そこに入っていたのは、「美」ではなく「眠り」だったため、今度こそプシュケは永遠の眠りについてしまいます。
これを助けたのはエロスでした。
彼はゼウスに歎願し、プシュケと結ばれることを許されます。ゼウスに説得されて、アプロディテも不承不承これを認めます。
こうしてプシュケはヘルメスに案内されて天の団欒に迎えられ、霊酒を飲んで神体となったのです。
どんどはれ。
(snow)